2025年大阪・関西万博も、閉幕まで、一か月を切りました。
夏休みシーズンは、連日、人気パビリオンに大行列ができるなど大賑わいでしたが、閉幕に向け、まだまだその熱は冷めやりません。
筆者は8月末にゴールデンウイークに続き二度目の訪問をしましたが、その際も大盛況でした。
先日、筆者が訪れた際、気になっていた「ポルトガル館」を訪ねたのですが、幸運にも、ほぼほぼ待たず短時間で入れることになりました。
テーマは「海洋:青の対話」
ポルトガルパビリオンのテーマは「海洋:青の対話」です。
公式ホームページによると、「今は昔500年前、海はポルトガルと日本を結びつけました。そして、今も私たちの共有する未来を形作り続けています」と書き記しています。
さらに、持続可能な未来のためのパートナーシップおよび、希望にあふれる「素晴らしいユートピア」への旅に出発するというメッセージも込められているということで、入館を待つ際、「ユートピア」という言葉に期待に胸を膨らませながら、筆者は、館内に足を踏み入れることになります。
なので、今回は、筆者が「ポルトガルパビリオン」を巡った体験談を写真とともにつづっていきたいと思います。
ポルトガルパビリオン
8月末の16時半頃、150分待ちの札がかかっていたものの、めげずに並ぶことにしました。しかし、列の進みは早く、実際、並んでいたのはその十分の一の15分ほどでした。
この左奥の穴のようなものが入り口です。いかにも涼し気で、逸る気持ちを抑えつつ待ち、一歩ずつ入り口に向け歩みを進めていきました。
並んでいる最中も、なんだか楽しい涼し気なオブジェの数々。
涼し気な、のれんのような、すだれのような入り口に、お客さんが次々と吸い込まれていきます。
やっと中に入れることに!
お迎えしてくれるのは、環境をイメージさせる、ポルトガルのオブジェ。
館内は非常にムーディーです。大きな地球儀に、過去の世界地図イメージが映し出されます。
土台はまるで、地層のようですね。
「17世紀の南蛮屏風は、日本の絵師によって描かれたポルトガル商人の到来を表現しています」と書かれています。
そして、日本人とポルトガル商人の遭遇や交流を描いたような絵画の数々。
「昔っぽい絵なのに、動いてて面白いねえ」という声が聞こえてきて、まわりのみなさんの感受性の豊かさに心がほぐれます。こういうのも、万博の醍醐味です!
そして、出会ってしまうのでした。
日本人がポルトガル商人と外来語に。
館内ではポルトガル商人の発音を、日本人が真似る様子が映像で流れます。
オルガン、パン、タバコ、etc…。
その多くが、今日までカタカナ語として残っている言葉であり、日本が外来文化を受け入れる礎となり、今も私たちの生活を彩っています。
映像の音声を聴きながら、地層のオブジェにライトアップされる、ポルトガル語とカタカナ。
カタカナ語は、本来の外国語の発音と全然違う!といわれがちですが、映像からは、当時、ポルトガル商人を迎えた人々が、現場で真摯に耳を澄ませながら、なんとか、当時の日本語に当てはめようとしたことが見てとれます。
「ボーイ・ミーツ・ガール」ならぬ「日本人・ミーツ・ポルトガル商人」ですね。
最後の大部屋は巨大な映像「あなたはわたしの一部だ」
「あなたの人生はすべて私にかかっていた」との字幕が流れてきました。
この「私」とは、いったい誰のことなのでしょうか?
続けて「でも、あなたは忘れてしまったようだ」という字幕。一体、どういうことでしょうか。
さらに「もし私の氷河を溶かせば」という一文。なるほど、「私」とは地球そのもののことなのですね。
環境へのありがたみを忘れたら、地球や人間に直接的に跳ね返ってきます。
そして「あなたの本来の姿に戻りなさい」との一文がつづられ、ここまできたら「はい、戻ります」とつい答えてしまいそうなほどの没入感がありました。
「あなたは水の中で生まれた。」
「あなたは私の一部だ。」
これを見た筆者は、心の中で「そう、私はひとりじゃない…今回は1人で来たけど、ソロ万博だけど、ひとりじゃない…」と思わずつぶやいてしまうほどの衝撃のフィナーレでした。
そして、最後の一文になんだか安心し、心に温かい余韻まで残してくれました。
そして館内の外、地球へ…
鑑賞している間に、少し涼しくなっていた野外。
日の光が気持ちよく、空気がおいしく感じられます。
このパビリオン体験を通じて、改めて、この地球を大切にしようと思いなおしました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ユートピアとは、今まさにわたしたちが、他者や環境とパートナーシップを組んで、つくっていくものなのですね。
日本人とポルトガル商人の邂逅などもテーマに織り込みつつ、外来語の口承や、地球からのメッセージなど、非常に言葉の持つ力を強く感じる構成だと感じました。
それと、同時に、実際に館内全体が、オブジェやライティング、映像によって「言葉の力」を増幅させる仕組みとなっていて、それにより、生の体験の強さをさらに強く認識させてもらいました。
人気のポルトガル館ですが、立地もあってか、時折、空いているタイミングがあるようです。
万博にお越しの際は、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。
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